\まぁいいべ、とりあえず笑おうプロジェクト/
『まちがえてもmaruカフェ』
当プロジェクトは、認知症をもつ方がホールスタッフを務める料理店です。
間違えることがあるかもしれなけれど、「まぁいいべ、とりあえず笑おう」と、そこに居る誰もががおおらかな気持ちを持ち、笑顔があふれる空間になることをコンセプトにしています。
そのおおらかな気持ちや理解が広がり、誰もが過ごしやすい寛容な地域社会へとつながるように願う、そんなプロジェクトです。
こんにちは。
10月22日(日)・23日(月)に、西多摩初となる注文をまちがえる料理店、「まちがえてもmaruカフェ」を無事に開催することができました。
開催の様子をここに記録します。
当プロジェクトで得られた経験や実際のところを知っていただくことで、ひとりでも多くの方の理解と、今後イベントを開催したいとお考えの方の参考になれば嬉しいと思っています。
今回の開催場所は東京都青梅市にある「maru.+BEANS CAFE」
ご来店くださったお客様は2日間でおよそ100名様!
ご来店ありがとうございました。
初日はオープニングセレモニーからの幕開け
オープニングセレモニーには、後援してくださっている青梅市、羽村市、奥多摩町の市町長様方や、いつも見守ってくださっている方々にもご参加いただきました。
また一般社団法人「注文をまちがえる料理店」代表理事の和田行男さんも駆けつけてくれました。
開店前のドキドキとワクワクは、これからホールスタッフを務めようという認知症をもつ方々、そして長い期間で準備を重ねてきたサポートメンバーたち全員が同じ気持ちでいっぱいだったと思います。
そんな私たちを、参列してくださった皆様が温かく見守ってくださっていたように感じます。
セレモニーの最後には、全員で円陣を組み、大きな掛け声と共に一致団結です!
まちがえても...まる☻
まぁいいべ...まる☻
とりあえず...笑おう!
いよいよ開店!
そしていよいよ開店です。
その瞬間は、ホールスタッフもサポートメンバーも緊張感がMAXだったことでしょう!(笑)
お客様をお迎えして、一つひとつ丁寧に、それぞれのペースでの接客が、いよいよ始まります。
サポートメンバーが撮影した写真と共にお楽しみください。
1日目―
背筋はピーン!一生懸命でも笑いが絶えない皆さん。
2日目―
2日目になると誰もがリラックスしていて、1日目とはまた違う空気がそこには流れていました。
最初は戸惑いながら接客していたのに、後半は自分のやるべきことをサッとやりこなす姿も見られました。
それぞれの個性も垣間見れ、ホールスタッフ同士の助け合い「チームワーク」もありました。
ご来店のお客様は、他県からも外国からも、お一人様も団体様も、お子様から年配の方まで、実に老若男女と様々なお客様に恵まれました。
予約が取れなかったけれど応援に来てくださった方もいらっしゃったり。
とは言え、お客様はどなたも趣旨を理解してくださっていたので、おおらかな気持ちでスタッフとコミュニケーションをとってくださる様子は、まさに「共通」していました。
その会話ややり取りのすべてが、優しく温かく、見守る私たちサポートメンバーの心をもポカポカにしてくれました。
お疲れ様でした!
仕事を終えた後は、お疲れ様の挨拶と働いていただいた分の謝礼金の贈呈です。
一生懸命働いた証は、なんとも嬉しいものです。
みなさん、大事に大事に受け取ってくださっていました。
どんなお気持ちだったのでしょう。
「お金をもらう時は上機嫌だ」「誰にも渡しません」(ユーモアもたっぷり!)
「こんなにいただけるものだとは思わなかったわ」(まだ中身を見る前でした!)
一斉に笑いの渦で包まれながら、2日間の幕は無事に閉じました。
「働く」ということを久しぶりに体験されたり、多くの人とのコミュニケーションを大いに楽しんだり、「ありがとう」と言われる喜びを嚙みしめたり、昔の記憶がよみがえって懐かしんだり、いい緊張感の中で意識が切り替わったり...。
あっという間の2日間でした。
みなさんのお声
中には、仕事途中に「若い人がこんなにいるんだからあなたがやればいいいのよ、私は大して役に立てないんだから。」なんて漏らしていた方も、いざ役割になるととびっきりの笑顔で接客されていました。
事前の練習時に比べて、本番は表情がやわらかくなり、姿勢も歩き方も整い、その姿からは「自信」さえ感じられました。
ホールスタッフとして働いてくださったみなさんのお声です。
「みんながお料理を美味しいって言ってくれると嬉しくて。」 「緊張したけど楽しかったよ。皆さん優しかったし。」 「昔を思い出して努めました。また参加したい。」 「謝礼金で孫に何か買ってあげたい。」 「明日は来なくてもいいの?毎日でも働きたい。」 「ここは私の地元なんです。地元にこうして皆さんに来ていただけて本当に嬉しいです。」 「ほんまに楽しかった。いつも一人で家にいたらどこにも行かないやろ。」 「お客さんの笑顔が見れて良かった。毎日でも来たいです。」 「こんな大金もらったことない。もう絶対離さないからな。」 「昔を思い出しました。」とたくさんの昔話と共に。
ご家族様からもお声をいただきました。
「何枚も撮った写真を母と見ていて、母自身もしみじみ楽しかったと言っていました。ぜひ次回の企画があったらお声かけてください。」 「母から元気で嬉しそうな電話をもらい、凄く嬉しかったです。」 「イベント後も朝食後にバッグを背負い『今日も行きましょう!』と。期間限定イベントであったことは忘れていても、楽しかった場所は覚えている様子でした。」
認知症をもつホールスタッフのご家族様や、付き添いの介護スタッフの方々にも、たくさんのご理解とご協力をいただき感謝しています。ありがとうございます。
取材もしていただきました
事前のミーティングから当日までじっくりお話を聞いてくださったり撮影に来てくださったりと取材の方々にもとてもお力をいただきました。
ドイツのテレビ局ProSieben
多摩ケーブルネットワーク
西多摩新聞
西の風新聞
このプロジェクトの目的はあくまでも「イベントを行う」ことではなく、認知症への理解と寛容な地域社会の実現です。
実現させるためにはより多くの人の理解とおおらかな気持ちが必要となります。
一人ひとりが「きっかけ」と出会ってはじめて意識が変わっていくのではないかと思います。
そのためにはやっぱり多くの人に知ってもらわなければなりません。
だからこそ、今回のいくつもの取材は認知症への理解と寛容な地域社会の実現にとって大きな力と、大きな支えです。
取材の皆様、ありがとうございました。
協賛金という力
このプロジェクトは有志で自発的に立ち上げ、メンバーを募り集まり、何から何までボランティアでつくり上げました。
しかし、開催するうえでの必要物品の費用や、ホールスタッフへの謝礼金など費用はかかります。
その資金源こそ、協賛というかたちで協力してくださった企業や個人の方の「協賛金」です。
協賛金は、合計64口、32万円が集まりました。
感謝でいっぱいです。
ありがとうございました。
協賛金の収支の内訳については、あらためてこちらのブログ内でご報告いたします。
当日店頭では、サポートメンバーが作った「協賛ボード」にて、協賛してくださった方のご紹介をさせていただきました。
協賛金で作成させていただいた店頭幕は、次回以降の開催イベントでも繰り返し活用させていただきます。
またこちらの動画では、後援や協賛してくださった方々のご紹介もさせていただいています。
ぜひご覧ください。
そこにあったもの
認知症をもつホールスタッフの働く姿は、みなさんの目にはどう映るでしょうか。
オーダー間違えなかったかな。
お水こぼさなかったかな。
お皿割らなかったかな。
接客できたかな。
考えだしたら浮かんでくる数々の不安や心配ですが、蓋を開ければ不安や心配は笑い飛ばし、このプロジェクトの目的でもある「ホールスタッフを務める」「楽しい」「コミュニケーション」「温かい空間」という事実ばかりがそこには在りました。
間違えるんじゃないか、できないんじゃないか、と不安要素の想像よりも、「できること」に目を向けてやってみたり、できる場所をつくってみることで、想像をはるかに超えた結果が待っていると私たちも実感しました。
認知症をもつ人の個性、性格、得意不得意、人生経験、ペース...
すべてにおいて、その人がもつ「あるもの」に目を向けていくと、2日間という短い時間の中ででも、成長あり多くのドラマあり、関心や感動の宝箱のような空間でした。
これから
多くの人が一般社団法人「注文をまちがえる料理店」というそれまでにはなかったプロジェクトに共感し、今では日本各地のみならず海外にまでこの活動は広がっています。
今回私たちも、西多摩地域では初めて「まあいいべ、とりあえず笑おうプロジェクト」を有志で立ち上げ、青梅市のカフェにて「まちがえてもmaruカフェ」というイベントを開催しました。
このプロジェクトを通して、認知症への理解はもちろん、私たちひとり一人が忘れかけていたモノをもう一度思い出すきっかけにもなっているように思います。
このプロジェクトは前例に固執することなく、「認知症への理解」と「寛容な地域社会」を願いめざす、すべての人の手で繋げていけたらと考えています。
誰のものでもなく、みんなのものとして、この西多摩地域でさらに活きていけば嬉しいです。
つなげて
このイベントをきっかけに、西多摩地域で開催を希望される方や飲食店の方は、ぜひ当プロジェクトの事務局までお気軽にご連絡ください。(℡080-1619-6582)
笑顔を繋げていただけると嬉しいです。
そして、認知症へのひとり一人の理解の深まりと、まぁいいべの寛容な地域社会の実現を願い、行動していきましょう。
最後に、今回のプロジェクトに関わってくださったすべての方にあらためて、心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。
まあいいべ、とりあえず笑おうプロジェクト
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